ネットワークプログラミング (Network Programing) 第5回 5/20

はじめに

（当科目の）大筋と枝葉

• 当科目は、大筋としては、「Ruby言語（とそのライブラリ）で、ネットワーク機能を実現しよう」 というものだが、
• 本筋から離れた議論や解説も多い（右図）。
  • PC操作に関する解説
  • プログラミングを行うにあたって知っておくべき事や落とし穴、歴史的事情など。
  話を見失いそうになることもあるかも知れませんが、こういった事項も、 技術の世界の現実を知るためのいい材料になるだろうと考えて、並行して提示していることを ご了解下さい。

前回のおさらい

puts f.puts gets f.gets の使い分けについて

• 右図のように、ファイル（オブジェクト）をオープンしておいて、それを使わない（単に画面に文字を出すだけ）、というような（残念な）解答もあった（ので復習しておく）。
• 下図のように、gets と f.gets の違い、使い分け （puts と f.putsについても同様）を確認しておこう。
  
• 単なる関数呼び出しに見える puts, gets は、 実際には読み書きの対象となるオブジェクトが（’.’の左側に、書かれていないが）レシーバーとして存在していて、 ただ省略されているだけ、と考えるといい。
  • 省略されているのは、標準入力および標準出力をそれぞれ 表象する STDIN STDOUT というオブジェクトで、
  • それぞれは IOクラスに属する。
  • この２つのオブジェクトは、プログラム内で明示的に open する必要がない特殊なIOオブジェクト。
• これらを組み合わせて、たとえばファイルの中身を画面（つまり標準出力）に表示するプログラムは右図のような形になる。
  • open 式に後置した do～endブロックの冒頭で ’|f|’として ブロック変数 f で受け止めているのが、openされたFileオブジェクト。
  • 慣例的に 変数名 f が使われ、上記の説明でもそれを前提とした書き方をしたが、変数名は文法的には何でもかまわない。
  • なお、この変数 f （に保持されている値）そのものは、ファイルオブジェクトであり、それを印字（putsなど）しても、意味のある文字列にはならない（読む人によっては意味があるが）。
  • ファイルオブジェクトから gets で読んだ（getsの値としての）文字列が、putsに渡されるというデータの流れを 右図で確認しておいて下さい。
  • 単に（引数なしで）getsを呼ぶと一行しか読まないので、 複数行（ファイル全体）を読む呼び方も図に付記しておいた。
• ファイルの読み書きを２つ同時に実行するプログラム例を使った復習について、別ページに解説記事を載せたのでご利用ください。

文字コードに関するチェック

（各自でためしてみていただけますか）

1. このファイル（短いプログラムです）を（自分の作業用の場所に）ダウンロードする。

   • codingTest.rb という名前で保存したとして以下の説明をします。
   • このファイルをブラウザ画面に表示してからコピペ、という保存方法を（今回は）避けて下さい。

   日本語
   SHIFT_JIS と UTF 混在
   たいてい うまく対処されている
   （知らないうちに）

2. コマンドプロンプトで以下のように実行してみる。

   type codingTest.rb
   ruby codingTest.rb

   • 日本語がちゃんと表示されましたか。

• 右図のように日本語を表す文字コード/エンコーディングにいろいろな種類があり、

  • Windowsでこれまで標準的に使われてきているものと
  • ネット（Webの世界）や言語処理系（Rubyも含めて）で使われているもの

  が一致していないことでトラブルが発生することがよくあります。

  • 対策についてはあらためて解説します。

  • 改行を表す文字についても、Windowsでのこれまでのやり方（CR+LF）と、 その他のよくある方法（LFのみ）とで齟齬が発生する可能性はある。

    • 改行という操作は縦方向と横方向の動きを合成してもので、 それをどう表現するかについても２つの流儀がある。
    • 詳しくは、ASCIIコード表を確認ください（２進数を１６進表表示してあり、 たとえば文字 A については右図のように解釈する）。

  • 文字コードとエンコーディングが複雑になった事情を図にまとめたものが下図。

    

実践編

１ TCPソケットを使う

• （大前提として確認）ネットワークの機能は、数多くのコンピュータ（もしくはソフトウェア）が情報を流通させて成立する複雑なものではあるが、
• 殆どの場合それは（たとえば右図のように）１対１の通信を多数組み合わせることによって 成立しているので、情報通信を考察したり観察したりするときには、 １対１の通信を意識するというので大丈夫。
• 自分のPCで発生している通信においては、個々の通信の２つの端点のうち少なくとも１つの末端は自分のPC内にある。
  • もう一方は（遠方かも知れないし自PC内かも知れないが）「リモート側」と呼ぶ。
  • たとえば netstat というコマンド（コマンドプロンプト内で使う）の表示は、 各接続の、ローカル側/リモート側それぞれの端点のアドレス/ポートを表示している（右図）。

=> 教程は、別ページ参照

課題

1. codingTest.rb の結果を教えてください。（OSのバージョンも）

2. 別ページ (3) で提示したTCPSocktサンプルプログラムを動かしてみる （動作したか、どんな動作だったかを報告ください）。

   プログラムのコードについても、読んでみて理解困難な箇所があればそれについても報告ください。

3. おさらいの章の末尾にリンクで紹介した、入出力に関する補足資料（ここに再掲）を一読ください。理解できたかどうか、ご報告ください。

補足

（命名規則）

• 一般にプログラミングの場面ではクラス名・メソッド（関数）名・変数名など、名前をつける場面が多数ある。またライブラリでも名前のついたものが多数提供されている。

• メソッド（関数）名・変数名などはその名前の先頭は小文字、クラス名やモジュール名では 先頭が大文字と決まっている。

  • 多くの言語でこのようなルールがある。
  • 実はそれに従わなくともRubyではプログラムは動作するが、エディタによる支援などの点で不都合が出てくるので従っておこう。

• 複数の英単語をつないで１つの名前にすることがよく行われる。そのとき、各単語の先頭の文字だけを大文字にすることがよく行われる（これをキャメルケースと呼ぶ）。

  変数名（など）では最初の単語だけは大文字にしない。

• ただし、今日使った TCPSocket では、最初の単語（TCP）は略語から作られているので、 TCPの３文字は（次の Socketの先頭と合わせて４文字）大文字。

（PC操作）

• 授業中にも、資料提示している（ブラウザの）タブを誤って閉じてしまう（Ctrl-W）ことはよくある。こういうときも

  Shift+Ctrl+T（最近閉じたタブを再度開く） というキー操作を知っていれば、慌てずすかさず復旧できる。

  • このキーは編集操作（など）での、Ctrl-Z（元に戻す）に匹敵する重要性がある。
  • ちなみに Ctrl+T は「新しいタブを開く」操作。